クッキー研究第一弾(報告書風)
【クッキー製作時の材料配合比率がスタンプ性に及ぼす影響】
1.緒言
クッキーのレシピには現在数え切れないほど多くの種類があり、基本となるプレーンクッキーだけでも、味や食感、形状等に応じて配合材料や比率が様々決められている。
クッキーの種類には型抜き、絞り、アイスボックスなどがあるが、これらは生地の柔らかさに依存する加工方法の違いである。生地の柔らかさは粉体とそれ以外の材料の比率によって任意に変えることができる。
一方、クッキーに模様やメッセージを入れる方法として、生生地に着色し組み合わせる、スタンプを押す、焼き上がりの生地にチョコレートやアイシング等を施す方法がある。
本研究では、スタンプによるメッセージの記入に適した生地探索のため、材料の配合比率を変えたそれぞれの生地に対して、柔らかさ、加工性、スタンプ性、食感を評価した。
2.実験方法
2-1.材料
クッキーの基本材料は、粉体と油分、糖分、卵(水分)からなる。
粉体として使用されるものには、小麦粉を基本に、コーンスターチ、アーモンドプードル(油分としての役割もある)などがある。油分としてはバター、マーガリン、サラダ油などが、糖分としては上白糖、グラニュー糖などが使用される。卵は食感や風味を変化させることを目的に配合され、求める食感によっては使用しない場合がある。水分は、卵を使用しない配合でよく牛乳などが使用される。
今回は粉体として小麦粉、コーンスターチ、アーモンドプードルを、糖分および油分は上白糖、バター、また水分は添加せずに卵を使用した。
- 小麦粉(薄力粉) : 某フラワー
- コーンスターチ
- アーモンドプードル : 製菓用
- 上白糖
- バター : 有塩バター
- 卵 : 鶏卵
(※商品名詳細は割愛)
2-2.生地作製
クッキーの基本的な配合は一般的に、
小麦粉 : バター : 砂糖 = 3 : 2 : 1 である。
これは材料を混合した直後は比較的柔らかい生地となるため、冷蔵庫でバターを冷やし固めるアイスボックスタイプが適している。
調査した中でより詳細な基本比率は、
小麦粉 : バター : 砂糖 : 卵 = 100 : 50-60 : 35-50 : 10-20 であり、生地を30-60分休ませることで型抜きが可能となる配合比率であった。
この配合を基準として、今回は6水準の配合を検討した。
小麦粉の分量の一部をコーンスターチやアーモンドプードルに置き換えることで食感の異なるクッキーができるという知見から、置き換えあり/なし、また卵を使用しない配合系を参考に卵あり/なしで生地を作製し比較した。
配合の概要を以下に示す。
①基本最適配合(小麦粉、アーモンドプードル、バター、砂糖、卵)
②アーモンドプードルなし配合
③卵なし、コーンスターチ一部置き換え
④卵なし、アーモンドプードル増量
⑤基本最適配合の卵半分
⑥基本最適配合で生地を一晩寝かせたもの
2-3.加工条件
基本的な生地作成方法は以下のように統一した。
- 室温に戻したバターをホイッパーを使用してで滑らかなマヨネーズ状にする。
- 1に砂糖を2、3回に分けて加え、よくすり混ぜる。このとき、空気を含みふわっとするまでよく混ぜる。
- 卵が配合されている処方では、ここで卵を加える。よく溶いた卵を少量ずつ2に加えていく。バター(油分)と卵(水分)は分離しやすいため、少量ずつ加えてよく混ぜる。もし分離した場合は計量した小麦粉を一部加えると良い。
- 振るった粉類(小麦粉、アーモンドプードル、コーンスターチ)を一気に加え、ゴムベラで切るように混ぜる。ここで捏ねすぎると仕上がりが堅くなるので、さっくりと混ぜ合わせる。(※今回は時間の関係上、ふるいは使用せず、ビニール袋に入れて振り混ぜる方法を採用した。)
- 粉っぽさがなくなり生地がまとまったら、広げたラップの上に乗せ、数センチの厚さに伸ばす。生地全体をラップで包み、冷蔵庫で30〜60分生地を休ませる。
- 寝かせた生地を麺棒で厚さ5mm程度に伸ばす。
- 好きな型で生地を抜き、オーブン用の鉄板に広げたクッキングシートに並べていく。このとき型に生地がくっつかないように、小麦粉で打ち粉をすると良い。
- 型を抜いた生地に文字のスタンプを押していく。最後に余った、クッキー一個分の生地は、丸めて手の平で潰し成形する。
- 170℃のオーブンで12〜15分焼く。焼き色を見ながら時間は調整する。
- 生地が焼けたらオーブンから取り出し、鉄板ごと自然冷却する。冷めた後、お皿などに移す。
2-4.評価方法
2-3の加工時、以下の点で評価する。
A. 工程5での生地のまとまりやすさ
B. 工程7での生地の型抜きのしやすさ
C. 工程8でのスタンプの押しやすさ
D. 工程8で生地を潰したときの伸びやすさ
E. 工程10の後冷却した完成品の食感
→第二弾へ続く